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流れとスケジュール

これまでハウスメーカーの成り立ちを紐解いてきたことでも分かるように、ハウスメーカーの特徴は、「工業化(プレハブ化)」と「大量生産」にあります。

これは、ハウスメーカーで家を建てる際の打合せの流れとスケジュールにもその特徴が反映されています。例えば、工務店や建築家の場合に比べて、工事請負契約までの期間が短縮され、詳細設計は工事請負契約を結んだ後になります。

「工業化(プレハブ化)」と「大量生産」というハウスメーカーの特徴を念頭に置きながら、次の説明を読み進めてみてください。

プランの提案

ハウスメーカーの場合、営業担当者、または設計担当者が同行してお客様の要望をヒアリングした後、1週間~2週間で最初のプランが提案されます。

しかしながら、ハウスメーカー以外の家づくりでは、なかなかこうはいきません。特に建築家の場合は、使用する部材や規格がまったく決まっていないため、これらの制約を受けずにプランを考えることが可能な反面、採り得る選択肢が多いだけにプランを検討する時間が掛かります。

一方で、ハウスメーカーの場合は、あらかじめ使用する部材の規格が決まっていますので、その規格の中でプランを練ることになります。逆に言うと、これだけ短期間のうちにプランニングが可能なのも、ハウスメーカーがあらかじめ部材の規格を規定しているからこそ可能なことです。

最初のプラン提案後も、ほとんど1週間以内で修正プランが提案されます。このプランを修正するやりとりを3回~4回繰り返し、約1ヶ月~2ヶ月で基本プランが確定します。最初のプラン提案から約1ヶ月~2ヶ月で基本プランの合意に至るケースが多いのも、ハウスメーカーには「これ以上は構造的に限界」というラインが存在するからです。

仕様の確認

ハウスメーカーで家を建てる場合、お客様が何も注文を付けなければ、ハウスメーカーが設定している標準仕様をもとに仕様が説明されます。

「仕様」と言うのは、「どのような方法で家をたてるか」、つまり、建材、住宅設備などの家を構成する材料やその建築方法です。

住宅は数万点の部材の組み合わせで成立していますので、本来であれば、すべての部材を決めて行く過程が必要です。しかし、ハウスメーカーにはあらかじめ標準仕様が設定されていますので、極端に言えば何も決めなくてもプランの合意に至りさえすれば、どんな仕様で家を建てるのかを短期間で明確にすることができます。これから建てる住宅を明確にイメージしやすいのは、ハウスメーカーのメリットでもあります。

仕様はプレゼンボードや模型、パース等を使って説明されますので、もしそこで説明を受けた仕様を変更したい場合は要望を伝えて見積りに盛り込んでもらいましょう。

見積りの提示と申込

ハウスメーカーでは、あらかじめ仕様が決まっていますので、ひとつひとつの部材を積算する必要はありません。図面を描くCAD(設計システム)と各部材の単価がインプットされた積算システムが連動していますので、基本プランさえ決まれば自動的に正確な金額を算出することが可能です。

ハウスメーカーでは、「見積りを提示する=依頼の意思を確認する」ことを意味します。そのため、見積りの提示と同時に、契約に至るための条件面の調整が行われるのが一般的です。価格やその他の条件を提示して、ハウスメーカーの返答を待つことになります。

この際、もしその場で条件面の折り合いが付けば、「申込書」や「確認書」等の書面への署名、捺印をもって、契約の意思確認が行われます。

これは正式な請負契約とは異なり、お互いに契約前の意思確認を行うことが目的です。申込書等の署名、捺印から請負契約を結ぶまでの間に、100万円~200万円の申込金(預り金)を受け渡すのが一般的です。

請負契約の締結

申込書を交わし、申込金(預り金)の受け渡しが確認できると、ハウスメーカーは請負契約書の作成に取り掛かります。

請負契約までは、平面図、立面図程度の図面で打合せを進めるのが一般的ですが、請負契約書にはこれまで提示されなかった基礎伏図、断面図、展開図、設備図、仕様書等の図面類の他、見積り書や契約約款等が添付されます。

最初のヒアリングから請負契約に至るまでの期間は、おおよそ2ヶ月~3ヶ月前後といわれています。 一方、工務店の場合、どんなに急いでも3ヶ月~4ヶ月、建築家では請負契約まで最低6ヶ月~7ヶ月を要しますので、これらと比較すると契約までは比較的早いペースで進んでいきます。

ハウスメーカーの場合、あらかじめ仕様の規格が決まっていますので、構造躯体に影響しない細かい仕様の追加や変更の打合せは、請負契約を結んだ後、という流れになります。

詳細設計

請負契約がなされると、次は詳細設計に進みます。多くの場合、営業担当者以外のスタッフが加わるのはこの段階です。契約後も営業担当者が窓口にはなるものの、実務では営業担当者から設計担当者やコーディネーターに徐々にバトンが渡されていきます。

詳細設計の段階では、部材を工場に発注する必要があるため、まずは、構造躯体に関わる部分を先行して打合せを進めます。

その後も設計担当者やコーディネーターが営業担当者から引き継いだ内容をもとに、仕様や設備の確認、カラーコーディネート、照明、カーテン、外構計画の検討を進めていきます。この間、請負契約の時点から追加や変更があった箇所は、追加変更工事の見積り書の提示を受けます。

詳細設計の期間は、おおむね1ヶ月~2ヶ月前後が一般的ですが、これもハウスメーカーでは基本的な仕様があらかじめ決まっているからこそ、この期間で打合せを終えることができます。
最後に、着工時期や竣工時期のスケジュールを確認し、工事の着手に臨みます。

着工から引渡しまで

最終的な詳細図面が完成し、追加変更工事の内容が決まると、いよいよ着工です。工事中の打合せは、工事担当者が窓口となって進めていくようになります。

着工時には工事担当者が紹介され、工程および施工上の確認作業を行います。工事担当者は、現場の管理はもちろん、近隣への挨拶、地鎮祭、着工、上棟、検査の立ち合い等を行います。

ハウスメーカーの工事担当者は、いくつかの現場を同時に担当するのが一般的ですが、これは、ハウスメーカーの住宅の仕様が規格化されているからできることでもあります。

竣工に近づくと、ハウスメーカー内の社内検査の後、施主の立ち合いの下で施主検査を行い、修正個所があれば手直し工事をして、引渡しに臨みます。

引渡し時には、工事担当者から設備機器の取り扱い説明やメンテナンスの説明を受けます。工事金額の残金を支払ったら、鍵の引渡しを受け、引渡しが完了します。

アフターメンテナンス

引渡し後のアフターメンテナンスは、工事担当者ならびにアフターメンテナンス担当者が担当します。ハウスメーカーによっても異なりますが、アフターメンテナンスは別会社が担当する場合もあります。

一般的には各ハウスメーカーで定める「アフターメンテナンス基準」というものがあり、何の不具合がないとしても、各社とも引き渡し後、6ヶ月、1年、2年点検の最低3回程度は連絡があり、訪問の上で施工状況や初期不良、建て付けの調整などを行います。

また、保証内容については、ハウスメーカー毎に規定が異なりますが、その規定によっては点検時に補修工事が必要な場合があります。定期点検時の補修工事を行うことで、保証期間を延長することができる場合がありますので、アフターメンテナンス担当者から十分に説明を受けておくことが重要です。