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構法と性能の着眼点

ハウスメーカーを検討する理由として、多くの方が「構造や性能の信頼性」を挙げます。

お客様のご相談例やインターネットのQ&Aサイトで「どちらのハウスメーカーが構造的に優れていますか?」という質問をよく見聞きすることからも、ハウスメーカーを検討中の方が構造や性能に強い関心を寄せていることが分かります。

しかし、お客様が比較検討しているハウスメーカーの顔ぶれを見て、「どうしてこの3社を検討しようと思ったのだろう?」と不思議に思うことが少なくありません。それほど構造や性能に強い関心を寄せているにも関わらず、残念ながら、ほとんどの方が比較の着眼点を間違えています。

例えば、まったく工法や構造が違うハウスメーカーを比べても、そもそも長所と短所が違うので、ほとんど意味がありません。

「構法」のネーミングに惑わされない

でも、そうなってしまうのも致し方ない部分があります。

それは、ハウスメーカーがパンフレットやウェブサイトで使っている言葉が工法の理解を複雑にしているからです。

例えば、ハウスメーカーのパンフレットやウェブサイトには、「○○スーパー××構法」とか、「ハイグレード○○構法」とか、「ダイナミック××システム」といった言葉がたくさん並んでいます。しかし、これらはハウスメーカーが独自に名付けた商品名に過ぎません。

これらのようなハウスメーカーが自ら名乗る商品名と、一般に認識されている建築的な用語の両方が混在しているため、工法の本質的な違いや特徴が見えづらくなっているという現状があります(こうした言葉には「工法」という漢字は使われず、ほとんどのケースで「構法」という漢字が使われています)。

こうした商品ごとの細かな差異とは比較にならないほど、木造軸組工法、木造枠組工法(ツーバイフォー)、重量鉄骨ラーメン工法といった建築的な工法の枠組みの方が、全体の計画に大きなインパクトで影響を及ぼします。

また、単に工法のメリット、デメリットだけで評価するのではなく、「ご自身の状況に照らした時に」、その工法を採用することでメリットをより多く得られるのか、それともデメリットの方が多くなるのかを評価することが重要です。

例えば、「カジュアルな服とフォーマルな服のどちらを着ていったらいいか?」と悩んでも、出かける先が冠婚葬祭の場であれば考える余地はありません。置かれている状況によって、事の良し悪しは変わりますので、単にツーバイフォーがいいのか、木造軸組がいいのかをいくら考えても妥当な結論に至るはずがありません。

自分の敷地、自分の置かれた状況の中で、どちらがより適しているのか、つまりその工法の欠点よりもより利点を得られるのはどちらなのかを考える必要があります。

断熱性、耐火性、遮音性などの性能についても同じことが言えます。

「プレミアム××断熱」、「スーパー○○ウォール」などの商品名が並んでいると、どうしても本質が見えなくなってしまいますが、それ以上に重要なのは、「発砲ウレタン系」の断熱材なのか、「繊維系」の断熱材なのかということの方がよほど重要です。

よく分からないネーミングが出てきたら、できるだけ汎用的に使われている用語に置き換えてみると、本質的な意味を理解することができるはずです。

工法の特徴を理解する

構造は「木造」、「鉄骨造(軽量、重量)」 、「鉄筋コンクリート造」の3つに分けられます。

<木造>

構造に「木」を使った工法には、主に「軸組工法」と「枠組壁工法(ツーバイフォー工法)」の2つがあります。またこれらの工法は、主に現場で施工を行う方法の他、床や壁のパネル毎に工場で生産を行う「パネル工法」、部屋ごと工場で生産を行う「ユニット工法」があります。

・木造軸組工法

木造軸組工法は日本の伝統的な工法で、時代とともに金物やプレカットの技術を進化させながら現在でも多くの住宅で採用されています。土台の上に柱を立て、梁や筋交いで構造をつくる工法で、他の工法に比べて比較的安く、プランニングの自由度も高い工法です。
しかし、現場での施工比率が高く、施工する人の技術によって品質の差が生じやすい工法でもあります。

・木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)

木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)は19世紀初期に北米で生まれ、床、壁、天井の6面で建物を支える工法です。構成する部材に2インチ×4インチの角材を用いるため、ツーバイフォー工法と呼ばれています。
壁で支える構造のため、プランニングの自由度に制約がありますが、施工する人たちの技量に左右されることなく、作業がシンプルなので工期が短いのが特徴です。 屋根を最後に設置するため、四季の節目に雨が多い日本の風土にはあまり向かない部分もあります。
なお、壁で支えるという点では、いくつかのハウスメーカーが採用している「パネル工法」も似た工法です。

<鉄骨造(軽量、重量)>

構造に「鉄骨」を使った工法には、主に「軸組工法」と「ラーメン工法」の2つがあります。主に軸組工法の場合は軽量鉄骨が、ラーメン工法の場合は重量鉄骨が部材として使われます。
またこれらの工法は、主に現場で施工を行う方法の他、床や壁のパネル毎に工場で生産を行う「パネル工法」、部屋ごと工場で生産を行う「ユニット工法」があります。

・軽量鉄骨軸組工法

軽量鉄骨(厚さ 6mm未満の鋼材)を構造材に使用します。素材の品質にばらつきが少なく、主要部材は工場生産されるため、安定した精度を保つことができます。
基本的に錆や熱に弱い素材のため、防錆処理や断熱をしっかり行う必要があります。

・重量鉄骨ラーメン工法

重量鉄骨(厚さ6mm以上の鋼材)を構造材に使用します。柱が少なくても建物の強度が保てるという特徴があるため、大開口や広い空間が必要な場合に向いている工法です。
粘りが強い構造である一方で、揺れやすい構造でもあります。重量があるため、基礎や地盤を強固にしておく必要があり、木造に比べると構造材自体の価格や建築コストも比較的高くなります。

<鉄筋コンクリート造>

構造に「鉄筋コンクリート」を使った工法には、主に「壁式工法」と「ラーメン工法」の2つがあります。またこれらの工法は、主に現場で施工を行う方法の他、床や壁などの部材毎に工場で生産を行う「プレキャストコンクリート工法」があります。

・鉄筋コンクリート壁工法
・鉄筋コンクリートラーメン工法

鉄筋をコンクリートで覆った構造材を使用し、一般的にはマンションやビルなどの中高層の建物に使われる構造材です。高い耐久性や自由度の高さから住宅にも採用されます。
圧縮に強いコンクリートと引っ張る力に強い鉄筋の相性が良く、耐震性や耐久性は木造や鉄骨造に比べてかなり強いと言えます。また不燃材でもあり災害には最も強い構造材です。さらに防音性にも優れています。
しかし他の構造と比べて建築費は最も高くなります。重量的にも重いため、軟弱な地盤に建築する際は大規模な地盤の改良が必要になることがあります。
壁工法が鉄筋コンクリートの床、壁、天井の6面で建物を支える工法なのに対し、ラーメン工法は鉄筋コンクリートの柱、梁で構成された工法です。

以上が各工法の特徴の概要です。ここで重要なことは、一般論でどの工法が一番いいかではなく、あくまでもご自身の状況にあった構造を見極めることです。